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英単語が覚えられない中学生へ:スペリングが定着しない本当の理由と直し方

公開日 21 September 2026

中学生が英単語を覚えられない最大の理由は、「覚え方」ではなく「段階の飛び方」にあります。小学校の英語は、単語を聞いて分かる・見て分かる・手本を見て書き写せる、までが到達目標です。中学に入ると、何も見ずに正しいつづりで書けることが、いきなり毎週テストされます。つまり中1の生徒は、これまで一度も練習したことのない技能を、練習方法を教わらないまま試されているのです。

だから「書けない」のは普通です。そして直せます。必要なのは根性でも書き取りの回数でもなく、「見て分かる」と「見ずに書ける」が別の技能だと理解して、後者を鍛える練習に切り替えることです。

「読める」と「書ける」は別の記憶

(この違いの仕組みは英語は読めるのに、なぜ書けない?スペリングは脳にどう記憶されるかで詳しく説明しています。)

多くの中学生は、単語テストで出る語を「見れば分かる」状態まで持っていっています。教科書の本文を読めば意味も取れる。ところがテストで日本語を見て英語を書こうとすると、途中で手が止まる。

これは怠けているのではなく、記憶の種類が違います。見て分かるのは「認識」の記憶で、選択肢の中から正解を選ぶ力です。何も見ずに書くのは「再生」の記憶で、頭の中にあるつづりを最初から最後まで自力で取り出す力です。認識はできても再生はできない、という状態はごく普通に起こります。

単語テストが測っているのは再生の力です。教科書を眺める、単語帳を読む、という勉強は認識の力しか鍛えません。

できること: 勉強したつもりの単語を、日本語だけ見て紙に書いてみてください。書けなかった語が、本当に「覚えていない語」です。ここを毎回洗い出すことが出発点になります。

小学校では「書き写す」まででよかった

2020年度からの学習指導要領で、小学5・6年生の英語は教科になりました。ただし「書くこと」の目標は、音声で十分に慣れ親しんだ語句を書き写す、例文を参考に書く、というものです。何も見ずにつづりを書く、いわゆる「スペリングの暗記」は小学校では求められていません。

一方、中学校では3年間で1,600〜1,800語の新出語を扱います。中1の最初の単語テストから、何も見ずに書くことが当然のように前提になります。

このギャップを知らない親は「小学校で英語をやっていたのに、なぜ書けないのか」と感じます。子ども自身も「自分は英語ができないんだ」と思い込みます。どちらも誤解です。書く練習を始めたのが中1なのだから、中1の時点で書けないのは当たり前です。

できること: 「小学校でやったはず」という前提を捨ててください。中1の英単語は、ゼロから書き方を身につける段階だと考えたほうが、親も子も楽になります。

書いて覚える練習が効かない3つの理由

「10回ずつ書きなさい」という指示は、いまでも多くの学校で出ます。しかし書き取りだけでは定着しない理由がはっきりあります。

1. 写しているだけで、思い出していない。 手本を見ながら書く作業は、上で説明した「認識」の作業です。10回目を書くときも、頭は1回目と同じことしかしていません。テストで必要な「見ずに取り出す」動作を、一度もしていないのです。

2. 一度に集中してやると、すぐ消える。 月曜の夜に50回書いた単語は、金曜のテストまでにかなり抜けます。記憶は間隔をあけて思い出したときに強くなるので、同じ50回でも5日に分けたほうが残ります。

3. 間違ったつづりを繰り返すと、間違いが定着する。 手本を見ずに書き始めて、途中から自己流のつづりを繰り返してしまう子は少なくありません。書けば書くほど、間違いが上書きされていきます。

このあたりの仕組みは書いて覚える練習が効かないときで詳しく説明しています。

定着する練習:1週間の手順

単語テストが週に1回、範囲が20語前後という学校が多いので、その前提で組み立てます。

1日目:仕分け。 範囲の20語を、日本語を見て書いてみる。書けた語と書けなかった語に分ける。書けた語はほぼ触らなくていい。書けなかった語だけが練習対象です。たいてい半分以下に絞れます。

2日目〜4日目:書けなかった語を「見て、隠して、書いて、確かめる」。 手本を見る。隠す。何も見ずに書く。手本と照らし合わせる。間違えたら、どの文字を間違えたかを確認して、もう一度。1語につき1〜2分で終わります。これを毎日、書けなかった語全部について行います。

5日目:範囲全体をもう一度テストする。 1日目と同じように、日本語だけ見て20語を書く。ここで残った語が本当に苦手な語です。

6日目(テスト前日):残った語だけを集中的に。 音を聞いて、音のまとまりごとにつづりを言う。Wednesday なら Wed-nes-day のように区切る。長い語は区切ると急に書けるようになります。

テスト当日の朝:5分だけ。 前日に残った語を1回ずつ書いて終わり。新しいことはしない。

この手順の本質は、「思い出す動作を、日を分けて何度も行う」ことです。書く回数は少なくて構いません。

音を先に固めると、つづりは半分書ける

日本の中学生に特有の壁があります。英単語をカタカナの音で覚えていると、つづりに日本語の母音が混ざります。desk を「デスク」と覚えていれば desuku と書きたくなるし、strikesutoraiku に近づきます。

つづりを覚える前に、その語の英語の音を一度きちんと聞いて、拍を数えてみてください。desk は1拍。「デスク」は3拍。この差を耳で確認しておくと、余計な母音を書かなくなります。カタカナが原因の間違いについてはカタカナが原因?日本の子どもが英語スペリングで間違えやすい理由にまとめています。

できること: 単語を練習するときは、必ず音声を聞いてから書く。音が分からない語を、つづりだけで覚えようとしない。

定期テストと単語テストは別に考える

毎週の単語テストは範囲が狭いので、上の手順で間に合います。定期テストは範囲が広く、単語だけでなく本文や文法も出ます。

定期テストの単語対策で効くのは、「毎週の単語テストで最後まで残った語」を1つのリストにためておくことです。定期テストの2週間前に、そのリストだけをもう一度、見て隠して書く。範囲全体をやり直す必要はありません。苦手な語は毎回ほぼ同じだからです。

よくある質問

中1で英単語が書けないのは遅れていますか?

遅れていません。小学校では何も見ずにつづりを書くことは求められておらず、書く練習は中1から始まります。中1の1学期に書けないのは、練習を始めたばかりだからです。心配すべきなのは、練習方法を変えないまま中2まで同じ状態が続く場合です。

単語帳は何を使えばいいですか?

学校の教科書に出た語を優先してください。定期テストも単語テストも教科書の語から出ます。市販の単語帳は、教科書の語が定着してから、英検などの目標に合わせて足せば十分です。

1日に何語ずつやればいいですか?

新しく練習する語は1日5〜7語が目安です。それより多いと、翌日に思い出せる語が減ります。20語の範囲なら、書けなかった語を3〜4日に分ければ収まります。

書けるようになるまで、どのくらいかかりますか?

上の手順で1週間やれば、その週の範囲は書けます。「単語テストで安定して8割以上取れる」状態になるには、この手順を4〜6週間続けるのが目安です。方法が身につくと、かかる時間はどんどん短くなります。

親が英語を話せなくても手伝えますか?

手伝えます。親の役割は「日本語を読み上げて、書けたかどうかを手本と照らし合わせる」ことだけで、英語の知識は要りません。英語が苦手な親でも子どものスペリング練習をサポートできる方法で具体的な手順を紹介しています。

今週から始めること

今週の単語テストの範囲を、日本語だけ見て書いてみる。書けなかった語だけを、毎日「見て、隠して、書いて、確かめる」。それだけで、今週のテストは変わります。

思い出す練習を毎日続けるのが面倒なら、SpellEasyが役に立ちます。教科書の単語リストを写真で取り込んで、音を聞いてからつづりを打ち込む練習ができ、間違えた語は自動的に苦手リストにたまります。何も見ずに書く練習を、毎日5分で回せます。