カタカナが原因?日本の子どもが英語スペリングで間違えやすい理由
公開日 12 September 2026
日本の子どもが英語のスペリングで間違える最大の原因は、カタカナです。英語の単語はカタカナとして日本語に入るとき、日本語の音節構造に作り変えられます。日本語の音は基本的に「子音+母音」なので、英語にはない母音が足されてしまいます。
strike を「ストライク」(su-to-ra-i-ku)として覚えた子どもの頭の中では、英語では1音節の語が5つの音になっています。この余分な母音が、そのまま書き言葉に出てきます。
必要なのはスペリング練習を増やすことではなく、2つのシステムを「別のもの」としてはっきり分けることです。
カタカナは英語にない母音を足す
日本語の音節構造のため、英語の子音連続や語末の子音はそのまま入ってこられません。カタカナは発音できるように母音を挿入します。
- strike → ストライク → sutoraiku
- desk → デスク → desuku
- milk → ミルク → miruku
- test → テスト → tesuto
カタカナの形から書くと sutoraiku、desuku になります。全部の母音を書かなくても、desuk のように一部だけ残ることもよくあります。
カタカナは「英語から借りた日本語の単語」であって、英語の単語そのものではありません。ここを明確に伝えることが出発点です。
できること: カタカナがある単語は、英語とカタカナを並べて声に出し、拍を数えてみてください。desk は1拍、「デスク」は3拍。この違いを耳で確認するほうが、書いた後で直すよりずっと効果があります。
L と R は日本語では1つの音
日本語のラ行は、英語の L と R のあいだにある1つの音です。区別して聞き取ること自体が難しく、聞き分けられない音は正確に書けません。
- light / right
- play / pray
- collect / correct
- glass / grass
これは「書く問題」ではなく「聞く問題」なので、書いて覚えるだけでは直りません。
できること: ミニマルペア(1音だけ違う語のペア)で練習します。2枚のカードを並べ、親がどちらかを読み、子どもが指さす。書くのはその後です。
日本語にない英語の音
いくつかの英語の音は日本語に存在せず、決まった置き換えが起こります。
| 英語の音 | 日本語での置き換え | よくある誤り |
|---|---|---|
| v | b | berry(very) |
| th(think) | s | sink |
| th(this) | z / d | zis |
| f | ふ に近い音 | hood(food) |
| si と shi | shi 寄りに合流 | she と see の混同 |
置き換えは一貫しているので、単語ごとではなくグループで直せます。 very を berry と書く子は、bideo、nebber とも書きます。
できること: 1回の練習で1つの音に絞ります。v の音を含む単語を6語、まとめて練習すれば一族まとめて解決します。
和製英語という別の落とし穴
「マンション」「コンセント」「ハンドル」「サラリーマン」など、英語由来でも英語では通じない、あるいは意味が違う語が日本語にはたくさんあります。
これはスペリングの誤りとは少し違いますが、結果は似ています。子どもが「英語だと思って」自信を持って書いた語が、英語ではないという状態です。
カタカナで存在することは、同じ意味の英単語が存在する証拠にはなりません。
できること: カタカナ語は「そのまま使える」ではなく「確認する合図」として扱ってください。
母音は5つ対それ以上
日本語の母音は5つ。英語ははるかに多く、しかも綴りが一定しません。日本語話者は「自分の言語では同じ音」を区別し、さらにその区別を綴りで書き分けるよう求められます。
ship と sheep、cut と cat、full と fool が難しいのはこのためです。音が同じに聞こえるなら、綴りは当てずっぽうになります。
できること: ここもミニマルペアで、聞く練習から。英語の中でも難しい部分なので、数か月単位で見てください。
実際に効くこと
- カタカナと英語をはっきり分ける。 「カタカナは間違い」ではなく「カタカナは日本語版、英語は綴りが違う」と伝えます。
- 拍を数える。 日本語話者はモーラの感覚が強いので、それを利用します。
- 聞く練習を書く練習より先に。 L/R、b/v、母音はまず知覚から。
- 音のグループ単位で練習する。 単語リスト順ではなく、同じ置き換えが起きる語をまとめて。
- 必ず英語の音声を聞いてから書く。 カタカナ読みではなく、読み上げ機能で英語の発音を。
これらは規則的で予測できる誤りです。それは良い知らせでもあります——パターンのある誤りは、漠然とした苦手よりずっと直しやすいからです。
よくある質問
なぜ日本の子どもは英単語に余分な母音を入れてしまうのですか?
カタカナが英語の単語を日本語の音節構造(子音+母音)に作り変えるからです。strike は「ストライク」となり、挿入された母音がそのまま書き言葉に出ます。英語形とカタカナ形を並べて拍を数えると、違いが具体的にわかります。
L と R を聞き分けられるようにするには?
書く前に聞く練習から始めてください。light/right、play/pray、glass/grass のようなミニマルペアを2枚並べ、親がどちらかを読み、子どもが指さす形が有効です。知覚が先で、綴りの正確さは後からついてきます。
カタカナ英語は英語学習に悪影響ですか?
悪いとは限りませんが、扱い方が必要です。カタカナのおかげで語彙になじみがあり、英語が身近に感じられるという利点は大きいです。ただし発音と音節構造は日本語なので、「英語の単語そのもの」ではなく「日本語版」として提示する必要があります。
テストはできるのに簡単な単語を間違えるのはなぜですか?
選択式や読解は「認識」の課題で、「産出」よりずっと簡単だからです。認識中心の練習ばかりだと、スペリングはテストの点数に追いつきません。単語を隠して書き、すぐ答え合わせをする練習が、テストでは測られていない力を鍛えます。
日本語話者にとって特に難しい英語の音は?
L と R の区別、v と b、2種類の th、f、そして ship/sheep や cut/cat のような母音の対比が代表的です。いずれも置き換えが一定なので、単語ごとではなくグループで対処できます。
カタカナ英語を完全に避けるべきですか?
その必要はありませんし、現実的でもありません。カタカナ語は日本語の一部です。大切なのは2つのシステムを明示的に分け、カタカナ形は日本語であり、英語は音・拍・綴りが違うと子どもが理解していることです。
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