単語テストで毎回同じ語を間違える理由:「10回書いて覚える」が効かないとき
公開日 21 September 2026
「10回ずつ書きなさい」は、日本の学校でいちばんよく出る英単語の宿題です。そして、単語テストで毎回同じ語を落とす子の多くは、この宿題をきちんとやっています。
やっているのに効かない理由ははっきりしています。書き取りは、手本を見ながら写す作業です。テストで求められるのは、何も見ずに思い出す作業です。この2つは別の技能で、写す練習をいくら重ねても、思い出す力はほとんど育ちません。
この記事では、書き取りが効かない4つの理由と、同じ10分で確実に定着させる方法を説明します。
写すことと思い出すことは別の作業
10回書くとき、子どもの目は手本と自分の字を行き来しています。1回目も10回目も、頭の中では「見えている文字を手で再現する」ことしか起きていません。
テストではその手本がありません。頭の中から、最初の文字から最後の文字まで自力で取り出す必要があります。これは「再生」と呼ばれる記憶の働きで、写す作業では鍛えられません。
テストで測られるのは思い出す力で、書き取りで鍛えられるのは写す力です。この2つがずれている限り、何回書いても結果は変わりません。
できること: 書き取りの途中で、手本を隠してみてください。隠した状態で書けたら、その語はもう終わりです。書けなければ、その語は「10回写した」だけで「1回も思い出していない」語です。
一度にまとめて書くと、すぐに消える
宿題の書き取りは、たいてい1日で終わらせます。月曜の夜に20語を10回ずつ書く。金曜のテストまでに4日空きます。
記憶は、時間をあけて思い出したときに強くなります。同じ10回でも、月曜に10回より、月曜・水曜・木曜に3回ずつのほうがはるかに残ります。1日でまとめて書く宿題は、最も残りにくい形で回数を消費しています。
できること: 書く回数は減らしていいので、日を分けてください。1語につき1日2回、3日間のほうが、1日で10回より効きます。
間違ったつづりを書き続けると、間違いが定着する
手本を見ずに書き始めた子が、3回目あたりから自己流のつづりを繰り返すことがあります。beautiful を beutiful と書いて、それを7回繰り返す。書き取りは「多く書いたつづりが残る」練習なので、間違いのほうが定着します。
単語テストで「毎回同じ語を、毎回同じ間違い方で」落とす場合、原因はほぼこれです。
できること: 1回書くたびに手本と照らし合わせる。間違えた語は、どの文字を間違えたかを確認してから、もう一度書く。「何回書いたか」ではなく「正しいつづりを何回思い出したか」を数えてください。
全部の語を同じ回数やるのは無駄が多い
20語を10回ずつ書けば200回です。その中には、すでに書ける語が半分近く混ざっています。書ける語を10回写す時間は、まるごと無駄です。一方、本当に苦手な語は10回では足りません。
できること: まず20語を日本語だけ見て書いてみる。書けた語は練習から外す。書けなかった語だけを、書けるまで繰り返す。練習対象を絞るだけで、同じ時間で2〜3倍の効果が出ます。
同じ10分で定着させる手順
宿題として「10回書く」が出ている場合は、宿題は宿題として提出しつつ、実際の練習を次の形に変えます。
- 仕分け(2分)。 日本語を見て、範囲の語を書いてみる。書けなかった語に印をつける。
- 見て、隠して、書いて、確かめる(5分)。 印のついた語だけ。手本を見る。隠す。書く。照らし合わせる。間違えたら、間違えた文字を確認してもう一度。
- 音で区切る(3分)。 それでも書けない語は、音声を聞いて、音のまとまりで区切る。beautiful は beau-ti-ful。Wednesday は Wed-nes-day。区切ると急に書けるようになる語は多いです。
これを毎日、テストの前日まで。1日10分で足ります。
中学生の単語テスト全体の進め方は英単語が覚えられない中学生へで、1週間の手順として詳しく書いています。同じ語を繰り返し間違える仕組みについては子どもが同じ英単語をいつも間違える理由と対策も参照してください。
実例:beautiful を1週間で書けるようにする
beautiful を毎回 beutiful と書く中1の子を例にします。
月曜。 日本語「美しい」を見て書く → beutiful。手本と照らし合わせ、a が抜けていることを確認。音で区切る:beau-ti-ful。「beau」は b-e-a-u と声に出して言う。隠して書く → beautiful。
火曜。 手本を見ずに書く → beautifull。今度は l が1つ多い。確認して、もう一度 → beautiful。
水曜。 見ずに書く → beautiful。1回で正解。
木曜。 見ずに書く → beautiful。2日連続。
金曜(テスト前日)。 全体テストの中で書く → beautiful。3日連続で正解なので、この語は終わり。
書いた回数は合計7回。10回書く宿題より少なく、そのうち5回が「何も見ずに思い出した」回数です。10回写す宿題では、この5回がゼロです。
よくある質問
学校の宿題で「10回書く」と言われたら、やらなくていいですか?
宿題は提出してください。ただし、それを「練習した」と数えないでください。宿題とは別に、手本を隠して書く練習を短時間で行うのが現実的です。
書くこと自体に意味はないのですか?
手で書くこと自体は、つづりの記憶を助けます。問題は「手本を見ながら」書くことです。手本を隠して書けば、書くことの効果はそのまま活かせます。
何回思い出せば定着しますか?
目安として、日を分けて3〜4回、何も見ずに正しく書けた語はほぼ定着しています。1日に10回より、4日間に1回ずつのほうが強く残ります。
小学生にも同じ方法でいいですか?
同じです。小学生の場合は語数を減らし(1日3〜5語)、音を聞いてから書くことをより重視してください。小学校では書くこと自体に慣れていない段階なので、短く終わらせるのが続けるコツです。
今日から変えること
今日の宿題の範囲を、まず日本語だけ見て書いてみる。書けなかった語だけを、手本を隠して書く。それだけで、次のテストの結果は変わります。
手本を隠して思い出す練習を毎日回すなら、SpellEasyが使えます。単語リストを写真で取り込み、音声を聞いてから何も見ずにつづりを打ち込み、間違えた語だけが自動的に苦手リストに残ります。「写す」練習が、そのまま「思い出す」練習に変わります。